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店主ブログ

まだ食べる前の話

2019.10.23

またまたヒラメの続きです。前々回にウロコを剥す時に金タワシではなく包丁を使ってわざと時間をかけましたが、その理由が2つあります。

①『魚の身に負担をかけない』

②『身と皮の間の部分をなるべく残す』

ざっくり言うとこの2つになります。

①はウロコの大きな魚や剥がれやすい魚はいいんですが、ヒラメやカレイのようにウロコが細かい魚の場合、そこそこ力を入れて金タワシを使います。すると、その力で身を強く押す事になるので、負担がかかるのです。

分かりますよね、スーパーとかでパックになって刺身用切身になってるやつを想像して下さい。あのパックしてあるやつを上からブニブニ押したり、上に何個も重ねたりしたら、美味しさ半減です。

②の『身と皮の間を残す』のは①より具体的です。目に見える形で違いが出てきます。

これをきっちりキメる事に僕たちは命を賭けてます。身と皮の間には魚の脂や旨味が強く感じる部分があります。通称『銀皮』と呼び、カンパチやアジなどの魚の皮を上手く引くと銀色に光って見える事からこう呼ばれています。これを身に残せるかどうかで味わいや見た目が全然違います。

コレがなんで金タワシと包丁で違うのかといいますと、包丁でやった方が綺麗に凹凸無く出来ます。金タワシだと、多少の凸凹が残ります。そして皮を引く時まな板にピッタリ皮面をつけてから包丁で引くので、凸凹がそのまま反映してしまい、綺麗な仕上がりにならなくなってしまいます。もちろん魚種にもよります。皮の厚さやウロコの大きさも関係しますので。

ちょっとこれ丁度(?)失敗した部分もあるので比較。

①は良いですが②は若干減点です。微妙〜な差ですが、違います。

ヒラメは黒い皮の方だと綺麗さは分かりにくいので、裏の白い皮の方がこちらです。

ヒラメよりもタイの方が分かりやすいのでこちらも。あきらかに脂分が残ってます。白いもやーっとしたものが脂(旨味)です。

皮と身の間の旨味ってのが微妙な位置ですが、もっと極端に言うと、皮そのものに旨味があります。魚の皮は旨味と臭みの両方を備えています。なので、今説明した『皮を取り除く引き算法』と『むしろ皮ごと食べる足し算法』に分かれます。皮ごと食べる方は魚種によって皮が食べられないものもあります。食べられる魚は鯛とか金目鯛、あとは、、ハモとか、イサキとか。おもにこれらは熱湯を皮だけにかけて柔らかくする《湯霜》や、皮の表面だけ炙る《焼き霜》という方法を使います。これは皮を食べられる状態にするだけでなく、臭みを消す効果があります。その結果、皮を取り除かなくても旨味だけ感じられるんですね。

ここは好みの分かれるところですが、どちらもちゃんとした魚を美味しくする方法です。

なので、僕らは皮を使う場合はちゃんと臭みを取り除く湯霜か焼き霜をするし、皮を使わない時はなるべく皮スレスレのところまで残すように心がけています。

焦ったり急いでる時は失敗もします💧皮が身に残ってしまったり、逆に削りすぎてしまったり💧💧💧あと、包丁が切れない時もダメです。切れにくい包丁を使って力で強引に引っ張って身が割れたりします。あと、切れない包丁は魚だけじゃなく、使う側にも悪影響を与えます😰以前、魚の皮引きを切れない包丁でやり過ぎて(包丁研げよ😤)利き手の手首と皮を押さえる指を腱鞘炎になった事があります。変な力の入れ方をずっとしているとちゃーんと身体に反映されちゃうんですね😱

僕のやらかし話は尽きないのでもうやめときますが、最後にヒラメの美味しい食べ方をいくつか、、。

・やっぱりまずは[お寿司]

シャリとの相性も良く、身だけでなくエンガワもまた人気なネタです。

・シンプルに[刺身]

説明いらないですね、醤油で食べてもポン酢で食べても美味いに決まってます

・[天ぷら]

ヒラメってクセが無いので万能です。なんかちょっと贅沢な感じしません?

・天ぷらときたら[天丼]

ヒラメ天丼って、普通の天丼よりグレード高いですよね。他の白身の天丼とかと較べても、、なんか、、ね?

・[ムニエル]

いきなり洋食ですが、これもまた定番です。ふっくらしていて、さらに切り身なんで大体骨とか無いんで食べやすい♪

・江戸前の伝統の技法[昆布締め]

これも寿司屋では定番です。つまみに、握りに、どっちもいけます。後から来るフワッとした昆布の香りが大人な味わい。

・[潮汁うしおじる

ヒラメを楽しみたいなら、骨まで味わう。身だけじゃなく、骨から滲み出た琥珀色の出汁は平目エキスそのもの!

・[煮付け]

カレイがいいならヒラメも有りです。甘しょっぱいタレと絡めてご飯のお供に。

こんな感じです。こうやってみると、他の白身でも応用出来そうですが、タイやカンパチなどでは抜群に美味しいのに、ヒラメにはあまり向かない食べ方があります。

それは

[かま焼き]です。

タイとかは[兜焼き]とも言いますが、頭と首(?)のトコを塩振って焼くやつです。

ヒラメの頭はあんまり食べるところが多くないのと、淡白で塩だけの味付けではちょっと物足らないからか、[ヒラメのかま焼き]はあんまり聞かないです。いや、これはこれでいいんですが、どうせだったらこの部分は先程紹介した[潮汁]にしちゃった方が良いです。

同じ白身魚であっても、素材の生かし方というか、長所と短所があって面白いです。紹介しといて画像画像無くてすみません🙏

個人的には、皮を塩振ってパリッと焼くのが好きです。ヒラメって皮付きで売ってるのはあんまり見かけないんで、一匹丸々買うか海行って釣るかになっちゃいますけどね💧

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