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店主ブログ

寝かせる=ほっとく

2019.10.16

はいおかえりなさーい

冷蔵庫で4日間寝続けてもらいました。

こうして見比べると表面の色がだいぶ変わってますね。あ、結構前に撮った写真だとバレますね💧7月て、、夏の話です。

4日間そのままって、鮮度が命じゃないのー?と思う方もいらっしゃると思いますが、実際どんな感じかおろしてみます。

頭に近い部分の肝臓とか胃とかが生前あった箇所は若干黄色くなったりしてます。が、肝心の身の方を近くでみてみましょう😏

ぷりっぷりの艶っつやなんだこれ?時間止めてたのかな?と思ってしまう程良い状態。

そこで今回は『魚の熟成について』です。

『熟成=肉』ってイメージありますが、もちろん魚でも熟成はあります。コレ、流行りであったりもしますが、きちんと調理法(?)としても認められており、科学的な根拠もあります。が、実際のところ『熟成』と『腐敗』や『発酵』の使い分けを明確にしていて、それを飲食店で実行している店って少ないと思います。みんな《お店》であって、《研究施設》では無いので。僕もそうです。なので、正確には『熟成に近い管理と提供』を行なっています。

では[実際にガチでコレを飲食店でやると、どうなるのか?]

マグロでもなんでもお寿司にすると一貫あたり凄い値段になります。手間代もありますが、熟成させることによって表面の部分の色が変わり、更に匂いも出てきます。その部分を取り除いた残りの真ん中の部分のみを店では使いますので、もちろん使えなかった部分の仕入れ値も乗っかるので普通の一貫分より高くなります。単純計算で半分削ったら、売値は倍の金額になります。

もちろん熟成したほうが旨味が増しますので、美味しいのですが、上記の通り廃棄のリスクを考えると、一般の店でコレをやるのは勇気がいります。だってここまでしてお客さん来なかったらただの損で終わりますし、そんな高級熟成寿司を求めてないお客さんの層にとっては「高すぎてもう行かね」って思われてしまいますから。なので、本気で熟成寿司をやってる店(100%熟成を追求した店)は必ず高級店です。『予約で毎日埋まってて必ずお客さんが来る店』や『どんなに高くても良いから美味しいお寿司を食べたいお客さんしか来ない店』です。

次に[熟成ってどーやるのか?]

いろいろ説はあります。というのも、僕が見てきた何件かの店でやり方や考え方が若干違ってるので、正解は分かんないです。今も模索中です💧

『仕入れた魚を表面水洗いして、あとは新聞紙に包んで1週間冷蔵庫放置』って店もあれば、『頭と内臓を取り出して骨と身だけの状態にして水分取って冷蔵庫』ってのもあるし、『きっちり冊(サクパックになってる状態。切ってすぐ食べられる)にしてペーパーで包んで保管』ってのもありました。

保管の仕方も色々あり、普通に業務用冷蔵庫だったり、細かく砕いた氷で全方向埋まった発泡スチロールの中とか、熟成専用の温蔵庫とか、温度、湿度、下処理の過程で仕上がりが全く変わります。

奥が深いと言うか複雑すぎるというか、とにかくコレを追求していくとキリがないです。

なので僕が今やっているのは『熟成風』です。今回のヒラメも、活き〆の状態の良いものだったのですぐには使わずに寝かせましたが、廃棄するのは嫌なので4日目から使い始めました。今回のヒラメは4日目でもまだまだ熟成は足りてないです。つまり、一番旨味の出る時期はまだ先って事です。水揚げされてすぐが良い魚もいれば、1週間も1ヶ月も経った後のほうが良い魚もいて、それぞれ活かし方が違うのが魚の面白いところなんですが、お客さんの口に入るまでにそこまでの過程を踏んでいた事、あまり知られてないと思います。

『熟成』というのは最近ではわりとよく聞くようになりましたが、コレも一つの味わい方であり、寿司で言う生モノ(アジとか)オドリ(活きてたやつ)煮物(穴子とか)昆布〆(白身とか)炙り(トロとか)ヅケ(まぐろとか)酢〆(サバとか)などと同じようにそれぞれ魚の魅力を引き出す調理法の一つです。

寿司ネタの仕込みってやる事いっぱいあるなー、、、。最近営業時間よりも仕込みの方が時間かかってることに違和感を感じたついでに『熟成』を掘り下げました。次回は『身と皮』についてやります。真面目にやるとか言っときながらマニアックすぎてついていけなかったらゴメンなさい。次回もまぁまぁどーでもいい話です。

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